脱サラ☆アラサー女子のJourney to Jeweler

ベルギー・アントワープからお届けするジュエラー綾野の日々の記録

ニューヨーク留学中に山田詠美を読んで:私にとって「感性を磨く」ということは「共感」を増やしてくこと

作家・山田詠美さんといえば

ニューヨークを舞台にした

日本人女性とニューヨーカーの恋愛小説のイメージが

強い方も多いのではないでしょうか。

 

もともと私は山田詠美さんの小説が大好きです。

小学校高学年の時に母のススメで

『ぼくは勉強ができない』を読んでどハマり

ほとんどの作品を網羅しました。

 

ですが、ニューヨーカーとの恋愛小説だけは

共感できなくてずっと避けていました。

共感できなかった、というより

よくわからなかった、という方が正しいかもしれません。

自分と遠いお話すぎて想像がつかなかったのです。

 

 

ですが、先日、ニューヨークのブックオフで

『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』を見つけて

NY留学中の今なら共感・理解できるのではないかと思い

チャレンジしたところ大当たり、

立て続けに『トラッシュ』まで読破してしまいました。 

 

ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー (幻冬舎文庫)

ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー (幻冬舎文庫)

 
トラッシュ (文春文庫)

トラッシュ (文春文庫)

 

 

 

ピンとこなかった小説がピンとくるようになる、

この一連の体験は私にとって、とても嬉しい成長なんです。

 

その理由をちょっとお話させてください。

 

「感性を磨く」とはどういうことなのか?

 

私自身、文化レベルが高い育ちではないこともあって

芸術にコンプレックスがあるんですね。

だから、わからない芸術をわかるようになりたいという欲がすごくあります。

 

でも、知識だけ詰め込むのは、ただのわかったふり。

それはしたくない。

 

本当の意味で芸術を理解するということは、

その芸術に対して心から共感できることだと私は考えています。

 

そして、何かに共感するためには、

当事者になる経験を増やすしかないんだと思うんです。

 

 

 例えば、『トラッシュ』の一節で以下の情景描写があります。

 

十四丁目の人混みから電話をかけて

三番街をダウンタウンの方向に下り始めた。

 

主人公が初めて恋した人の家を訪ねるシーンなのですが

日本にいたままこの文章を読んだら

単なる場所移動の説明にしか見えなかったはず。

 

ですが、ニューヨークの土地勘を得たことで

この“十四丁目”というソト感のある場所から

“三番街を下る”という行動によって

よりプライベートなエリアへと移動していることがイメージでき、

そこ一節から彼女たちがより深い関係へ一歩踏み出したんだ、

ということを感じとることができたんです。

 

これは「ニューヨークに住む」という当事者を経験したからできたこと。

 

色んな場所に身を置いて

色んな体験をして

色んな想いをすれば

芸術の中に共感できることが増えていくんです。

 

実体験を通じて、今まで理解できなかったことに共感できるようになる。

 

それが私にとっての「感性を磨く」であり、 

私の人生の醍醐味なのです。

 

悲しい出来事によって磨かれる、優しい感性

 

そういう視点で考えると、

ネガティブな経験も必要なことだと思えます。

芸術ってマイナスな感情から生まれることが多いので

悲しい想いを体験した人こそ、より共感できるはずだから。

 

特にマイノリティになる経験はとても大事。

つくづく人って、自分も含めてですが、

差別する側にいる時はその存在に気づけない生き物なのだなぁと悲しくなります。

 

冷遇される側の気持ちは、反対側からは絶対にわからない。

 

だから、所属を選ぶときはなるべく

マジョリティよりマイノリティを選びたい。

 

芸術に共感できるということは、

他人に共感できるということでもあります。 

 

悲しい経験は優しい人にしてくれる。

そう思うと悲しいできごとも悪くないですね。

 

まとめ

 

これからも色々な経験をして

自分の共感できる世界を広げ、

人生でたくさんの感動を味わいたいと思っています。

 

いつか現代アートもわかるようになるかな〜

 

※余談ですが「ぼくは勉強ができない」は最高です。

割と勉強ができる方だった私にとって

主人公・秀美君の

「勉強よりも素敵で大切なことがいっぱいあると思うんだ」 

という価値観が衝撃で、

本によって新しい自分になるという体験を初めてさせてくれた本です。

ぜひ読んでほしい!

 

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

 

 

 

と表向きの文章はここまで!笑

以下はトラッシュを読んでの

自分の思考のメモです。

読みづらいと思うので、

すっ飛ばしちゃってください。笑

 

↓↓

 

不幸は意外にも近くに、

自分が歩いているところのすぐ足元に

ぽっかり穴として、あいていて、

その気がないのに落ちてしまう可能性は誰にでも十分にある。

 

だから私は自分を幸せにすることに手を抜かない。

 

自分を幸せにすることに手を抜かないとはどういうことか。

 

自分の心の声に耳を傾けて、

心がやりたいと言っていることに、

優先順位をつけて、

優先度が高いものはぜったい実現する、

低いものは諦めると腹をくくる。

そういうことではないかと思う。

全部手に入れられれば最高だけど

それができないことも多いから。

 

例えば、すごく好きだけど、

自分のことを望むように扱ってくれない

パートナーがいるとする。

 

彼のことが好きだから、

一緒にいることを選んで

願う扱いを受けることを諦めるのか

 

気持ちよく毎日を過ごすことが大切だから

好きな人から離れて

新しいひとを探すのか

 

どちらが正しい、ということはなく

どちらを自分がやりたいか、ということが大事で

どちらをとるのかを決めずに、

だらだら愚痴を言って決断から逃げるのは、

自分を幸せにすることに手を抜いている状態。

 

もちろん、決められない期間はある。

考えるのに時間は必要だ。

でも考えるのを放棄して自分を誤魔化しては絶対にダメ。

短期的には楽かもしれない。

いつか致命的な傷となって、取り返しがつかなくなる。

  

自分の心の声に従うと

他人を傷つけてしまうことももちろんあって、

そのことで自分も傷つくけれど

それも引き受ける覚悟を持っていたいと思う。