脱サラ☆アラサー女子のJourney to Jeweler

ベルギー・アントワープからお届けするジュエラー綾野の日々の記録

天国の母から再就職祝いをもらいました。ジュエリーだから、できること。

こんにちは、綾野です。

 

今日でシェアスタジオ最終日です。

荷物をパックして鍵を返して、さよなら。

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ロンドンに来たばかりの頃

ジュエリーをつくる環境を

つくることがまず大変でした。

 

このスタジオにやっと落ち着いて

いざ作り出すと

なかなかうまくいきませんでした。

 

ここ数ヶ月、やっと

"今の私にできること"がつかめて

形にできるようになり

手伝ってくれる仲間もできました。

 

旅立ち前に師匠から

"今のあなたで海外に行っても

何もできないよ"

というニュアンスのことは言われていましたし、

現にそうだったと思います。

 

それでも、一人でやってみたから、

自分に何が足りないのか、

これから何をすべきか、

はっきり見えた。

 

師匠の元でずっとやっていたら

師匠の実力を自分の実力だと勘違いしたままで

いつまでも独り立ちする力がつかなかったと思う。

私にはこれが正解でした。

 

畳1枚分くらいの小さなスペースだけど

わたしの冒険が詰まった、

大切な場所です。ありがとう。

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母が遺してくれた誕生石のトパーズでリングをつくりました

 

このスタジオで最後に

自分のためのリングを作っちゃいました。

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誕生石のトパーズ。

これから新しい環境で頑張るためのお守りです。

 

このトパーズ、実は、

わたしが19歳の時に亡くなった母が

遺してくれたものなんです。

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11月生まれのわたしにトパーズ、

12月生まれの妹にトルコ石、

それぞれの誕生石で

どこにつけて行っても

恥ずかしくないものを、

と生前買っておいてくれたのです。

 

彫金をはじめたころに、

地金を別のジュエリーに使うために

石を指輪から外したのですが

まだ私には早いかなと

ルース(石のみ)の状態で置いてありました。

 

次の進路が決まって

これからの世界になじむジュエリーもってないなぁ、

どうしよう・・・と考えた時にふと

このトパーズのことを思い出しました。

 

そうだ、今なら

作り手という意味でも

着け手という意味でも

あのトパーズに見合うような気がする。

 

そしてできたのがこちらのリングです。

 

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(リング部分は祖父の結婚指輪を使用)

 

濃いオレンジのトパーズが

キラキラと輝いて太陽みたい。

 

仕上がったリングを眺めていると

なんだかお母さんが、

あんたのそのまんまでがんばりやーって

言ってくれているような気がしました。

 

自分の人生を生きる、もう逢えないあの人を感じながら。 ジュエリーはそのお手伝いをしてくれます

 

今年の3月、実は母の十三回忌でした。

そのために日本に帰る余裕もなく、

私は法事を欠席しました。

 

一般常識から見たら、

親不孝な娘なのかもしれない。でも

 

わたしは、

わたしのやりたいことをやることが

一番の供養だって信じてるんです。

 

母は50代前半で若くして逝ってしまった。

もっとやりたいことや

行きたい場所があったと思う。

 

私はその分までやりきりたい。

 

わたしが新しい景色に出会うたび、

お母さんもその景色をきっと見てる。

きっと喜んでくれている。

 

そう信じてやってきたんですけど

 

間違ってないよ、それでいいよって、

このリングが伝えてくれている気がします。

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お母さん、わたし、仕事決まったよ。

やりたいことに一歩近づいたよ。

 

心の中でどんなに呼びかけても

返事は返ってきません。

 

でもこのリングからは

確かに母を感じます。

母が生きたこと、

愛してくれていたこと、

だから今わたしがここにいること

 

想いのタイムカプセルみたいです。

死者からプレゼントをもらう、

自分が死んでから誰かにものを贈る。

実際にはありえないことですが

半永久的なジュエリーなら、

それが叶えられるんです。

 

ジュエリーの強い美しさは

色んなことを浄化して

ポジティブなエネルギーをくれます。

みていると元気になれる。

 

ジュエリーをやりたいのは

誰よりもジュエリーの力に救われているから。

 

ジュエリーを通して

大切な人を失った悲しみを癒すようなことをしていけたらいいな。

 

お母さん、ありがとう。

わたしがんばるなぁ。