脱サラ☆アラサー女子のJourney to Jeweler

ベルギー・アントワープからお届けするジュエラー綾野の日々の記録

Dior(ディオール)のジュエリーを勝手に考察する:パリでの展示会レポを添えて②

メリークリスマス、綾野です🤶🎁

 

昨日の記事の続編です。

www.ayano-jewelry.com

 

ご覧いただいたようにDiorのハイジュエリーは

ヴァンクリやカルティエなどの

ジュエリー専門メゾンとは異なる

独自の世界観を構築しています。

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Dior joaillerie

Dior joaillerie

 

 

このユニークなジュエリーたちは

どのような背景から

生まれるのでしょうか。

気になりますねぇ。ええ。

 

展示会概要の中に

以下のコメントがありますが

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Diorのハイジュエリーは

ムッシュ・ディオールの

服への情熱や思想を

ジュエリーにトランスレートしたもの

なのです。

 

つまり、Diorのジュエリーを理解するには

ムッシュ・ディオールの思想を

理解する必要があります。

 

というわけで微力ではありますが

ムッシュ・ディオールの頭の中を

読み解いていきたいと思います。

 

 

 

"次世代のフェミニン"がムッシュ・ディオールの根幹

ムッシュ・ディオールの

ファーストコレクションは1947年2月12日、

つまり第二次世界対戦が終わった直後です。

 

このコレクションで

のちに「ニュールック」と呼ばれる

スタイルを発表しディオールは

一躍有名になりました。当時42歳。

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https://www.dior.com/couture/ja_jp/メゾン-dior/diorの歴史/ニュールック革命

 

写真は超有名なBarジャケット。

ウエストをぐっと絞り

女性ならではのカーヴィなライン

強調しています。

 

当時のヨーロッパには

戦争の後遺症ともいうべき

陰鬱なムードがありました。

配給制、制服、娯楽の制限・・・

 

その空気を打破し

女性に着飾ることの喜びを

取り戻したのがニュールックでした。

 

戦争という辛い体験から培った

“女性が着飾ることができるのは平和の象徴”

という哲学が彼の根幹にあります。

自身のクリエイションを通じて

戦争のない平和な世を、と

望んでいたのかもしれません。

 

そんなニュールックを

女性の社会進出を後押しする

直線的で動きやすい服を作ったシャネルが

辛辣に批判しているのも面白いところ。

 

それに反してか否か、ムッシュ・ディオールは

「自分は懐古主義者ではない。」

と語っています。

 

18世紀のドレスにインスパイアされながらも

自身の美意識を元に

20世紀のフェミニンを創り上げたのが

ディオールの功績と定義できます。

 

ファーストコレクションから10年、

1957年にムッシュ・ディオールは

突然この世を去ってしまいます。

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https://www.dior.com/couture/ja_jp/メゾン-dior/展示/メゾンディオール

ムッシュ・ディオールの晩年に撮られた

彼の10年間のクリエイションを集合させた写真。

 

その後はイヴ・サンローランを皮切りに

ジョン・ガリアーノやラフ・シモンズといった

次世代の天才デザイナーたちが

ムッシュ・ディオールの哲学を引き継ぎ

“次世代のフェミニン”を

創造し続けているのです。

 

グランヴィルの庭園と建築家になる夢が彼の美意識を作った

ムッシュ・ディオールの哲学を読み解いたところで

次は彼の美意識を追いたいと思います。

 

彼のクリエイションのポイントとして

“花”“シルエット”が挙げられます。

 

まずは“花”について。

彼は幼少期をフランス北西部の海沿いの街

グランヴィルで過ごします。

グランヴィルはお金持ちがヴァカンスに訪れる

洗練された田舎、という風情の街。

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https://www.dior.com/couture/ja_jp/メゾン-dior/diorの歴史/グランヴィルの別荘

 

映画「Dior&I」でラフ・シモンズが

この邸宅を訪ねていますが海に面し

花に溢れたとても美しいお庭があります。

※ちなみにこちら現在は

クリスチャン・ディオール美術館になってます。

Musée Christian Dior - Jardin Exposition Temporaire Granville Normandie

 

こちらのバラ園を母の指示で監督した経験が

少年ディオールの美意識に影響を与えます。

幼少期に眺めた

チューリップ、バラ、スズランなどの美しい花々から

シルエットの着想を得たり

テキスタイルをデザインしたり

果てには香水を生み出しています。

自然はクリエイションの母ですね。

 

余談ですがムッシュ・ディオールが

ファーストコレクションの時に

花を会場にたくさん飾ったことと

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Paris Collections Dior 1947 | Glamour Daze

 

ジェフ・クーンズのパピーから着想を得て

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ラフ・シモンズは自身の

Dior1stコレクションの際に

室内の壁一面に花を飾っています。

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Runway + Detail Photos: Christian Dior Couture by Raf Simons - Rock The Trend

 

誰かのメゾンを引き継ぐって

こういうことなんだなぁと興味深いです。

 

もう1つのポイント“シルエット”について。

彼は10年の間に20もの新しいシルエット

開発しています。

maquisato.com

 

優雅かつ革新的なシルエット

ムッシュ・ディオールの真骨頂ですが

実はもともと建築志望だったそうです。 

「建築家になりたいと思っていました。クチュリエとなった今も、建築の本質を尊重せずにはいられないのです」

Archi Dior | DIORMAG

 

彼の新しいシルエットへの探究心と審美眼は

建築への造詣からきているのですね。

 

ムッシュ・ディオールによるコスチュームジュエリー

ハイジュエリーの誕生は

彼の死後約40年を待たねばなりませんが

コスチュームジュエリーは

ムッシュ・ディオール生存時に作られています。

 

彼自身もデザインしていたようですが

マリリン・モンローなど超セレブ向けのみ。

一般的にはライセンス契約したデザイナーが

Diorの名を冠して作っていました。

 

 

ムッシュ・ディオールが

どこまで口出ししていたかはわかりませんが

優雅ですねぇ・・・最高。

 

石の大きさ=裕福度に依存することなく

美しいものをまとう喜びを与えるのが

ムッシュ・ディオールによる

コスチュームジュエリーなのですね。

 

こちらは1970年代のDiorヴィンテージ。

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もっとヴィンテージ見たい!というかた

こちらのサイトが潤沢でありました。

blog.migparis.com

 

ディオールの哲学と美意識はハイジュエリーに

1999年ハイジュエリー部門の初代ディレクターに

ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌが就任。

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https://www.dior.com/couture/ja_jp/メゾン-dior/1947年以来

 

以来メゾンはムッシュ・ディオールの哲学を

トランスレートしたハイジュエリーを

発表し続けています。

 

“ARCHI DIOR(アーシディオール)”の

ブレスレット“バール エン コロール”は

先述のバージャケットから

インスパイアされたもの。

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https://www.dior.com/couture/fr_fr/joaillerie/haute-joaillerie

 

建築のような美しいシェイプと

バラ園のような色使い・・・

まさにムッシュ・ディオールの世界。

 

装うことって幸せだと教えてくれますね。

 

 

 

以上でDiorハイジュエリーの考察を終わります。

 

ただセンスのいい人が

思いつきでいい感じに作っているのではなく

一人のデザイナーの人生観、

豊かな思想がそこにはあることを

お判り頂けたと思います。

 

余談ですが綾野が勝手に考察する理由

ここからは完全に余談ですが・・・

ティファニーなどの人気デザインを

そのまま盗用している作り手がいるのを

とても悲しく思っています。

 

真似すべきは

出来上がりのデザインではなく

そこに到るまでの思考法です。

 

仕上がったジェエリーのデザインを

パクるのは一種の泥棒です。

素晴らしいデザインには

デザイナーの人生がかかっているからです。

 

しかしそのジュエリーを生み出すまでの

思考回路をダウンロードするのは

天才から”まねぶ=学ぶ”という立派な勉強です。

 

天才から学んだやり方で、

独自の哲学・美意識を元に

オリジナルのジュエリーを作るべきです。

 

そういった活動の一助となるよう、

作り手目線で天才の思考をたどる

「勝手に考察シリーズ」

地味に続けて行こうと思います。

 

 

勝手に考察シリーズ第1弾

シャネルのハイジュエリーについて語っています。

www.ayano-jewelry.com

 

Diorについてもっと知りたいよーって方

このサイト最高に楽しいです

www.dior.com

 

ラフ・シモンズのファーストコレクションに迫った

こちらのドキュメントもおすすめ

ディオールと私 (通常版) [DVD]

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この本も欲しい

 

インスピレーションじゃなくて

印象派のインプレッションな

昔の私よ

Dior Impressions: The Inspiration and Influence of Impressionism at the House of Dior

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