こんにちは、綾野です。
意図せず半月以上
ブログお休みしてしまいました💦
日本に一時帰国しており
引っ越しやら移住のための書類準備やら
バッタバタでございました😅
今は無事アントワープに戻り移住準備中。
この辺の話はまた改めて❤️
制作日記やら色々ネタが溜まってしまった!
取り急ぎウィーン旅の続きから
ドシドシ書いていこうと思いますので
また宜しくお願いします😇
ウィーン分離派がかっこいい
ウィーンの美術史において外せない存在
“ウィーン分離派 Sezession(セセッション)”。
世紀末のウィーンに誕生した
新古典主義など懐古派を否定し
新しい造形表現を追求したグループです。
イギリスはウィリアム・モリスの
アーツ&クラフツ運動に端を発する
世紀末美術は語圏によって
呼び方が変わるのですが
ここドイツ語圏では
ユーゲント・シュティールと言います。
(よく聞くのはフランス語圏のアール・ヌーヴォー)
ウィーン分離派は
オーストリア版アール・ヌーヴォー
“ユーゲント・シュティール”の担い手、
といったところでしょうか。
ウィーン分離派のアーティストで
日本で最も有名なのは
クリムト大先生でしょう!
「死と生」@Leopold Museum
今、上野でも六本木でも
クリムト展やってますよね〜
あー行きたかった!どっちも行けなかった涙
東京にいらっしゃる皆様ぜひ❤️
ここウィーンにも当然のこと
ウィーン分離派の作品を楽しめる
美術館がたくさんあります。
そのうちの2つをご紹介しますね!
レオポルド美術館 Leopold Museum
https://www.leopoldmuseum.org/en
ウィーン分離派の基礎を知るのに
ぴったりなレオポルド美術館。
ミュージアムクォーターと呼ばれる
美術館が集まる一画にあります。
ちょうど「モダニズムの誕生」と題し
ウィーン世紀末美術に焦点を当てた展示中。
ちなみにこちらの美術館、
ルドルフ・レオポルドさんという方の
個人コレクションなのですが中でも
エゴン・シーレ コレクションは
世界最大なのだとか!
THE HERMITS
Egon Schiele | Highlights | COLLECTION | Leopold Museum
シーレはクリムトの弟子的存在であり
(上の絵はシーレとクリムトだそうな)
ユーゲント・シュティールの後に興った
表現主義の先駆けとなった画家です。
(テーマとずれるので今回は割愛)
Revelation
なんとルドルフさん、
オークションハウスにりんご持ち込むなど
食費削って絵を買ってたっていうくらい
気合い入ったコレクター。
ヲタクやるなら博物館まで
このブログの標語を体現しとりますな。
話をウィーン分離派に戻します。
まずはクリムト先生。
ウィーン分離派結成の中心人物です。
DEATH AND LIFE
Gustav Klimt | Highlights | COLLECTION | Leopold Museum
The Attersee
Gustav Klimt | Highlights | COLLECTION | Leopold Museum
クリムト先生とともに
ウィーン分離派の中核を担った
メインどころと作品をご紹介します。
①オットー・ワーグナー Otto Wagner
建築家/都市計画家
元は古典主義風のデザインをしていましたが
「芸術は必要にのみ従う」
(Artis sola domina necessitas)と主張し
機能性・合理性を重視する
近代建築の理念を表現。
彼の初期代表作カールスプラッツ駅。
【ウィーン】世紀末建築の粋を見るウィーンのアールヌーボー、ユーゲントシュティール建築5選 - おすすめ旅行を探すならトラベルブック(TravelBook)
彼のこの主張が弟子たちに受け継がれ
ユーゲント・シュティールを形作っていきます。
②ヨーゼフ・ホフマン Josef Franz Maria Hoffmann
建築家/デザイナー
ワーグナーの弟子でウィリアム・モリスからも影響。
後にウィーン工房を主催し
生活の芸術化を目指しました。
ヨーゼフ・ホフマンによるインテリア。
のちのアール・デコに通ずるような
幾何学的なデザインが特徴です。
グラスも美しい〜!
ジュエリーはもう少し有機的ですね。
③コロマン・モーザーKoloman Moser
デザイナー
ホフマンとともにウィーン工房を主催。
彼のジュエリーデザイン
次に紹介するMAKで
コロマン・モーザーの展示をしていたので
後半でがっつり作品お見せします!
ウィーン分離派を知るには
まずはこのあたりの方々を押さえておくと
良いのではないでしょうか。
レオポルド美術館は
ウィーン分離派にとどまらず
世紀末〜20世紀初頭の
ウィーンアートを楽しめます^^
Salome by ERICH MALLINA
幅広くウィーン現代美術を
見たい方にオススメ!
オーストリア応用美術博物館 MAK
オーストリアのV&Aミュージアムと言える
オーストリア応用美術博物館、通称MAK。
ハプスブルグ爆発な中世から
現代まで
ヨーロッパに留まらず
多彩なデザイン作品が展示されています。
アール・ヌーヴォー椅子コーナー
影での展示、面白い
Permanent Collection Historicism Art Nouveau - MAK Museum Vienna
カーペットコーナー
もともと中東からの輸入品だったのが
フランスで作られるようになる過程を紹介
Permanent Collection Carpets - MAK Museum Vienna
ちなみにわたくし
応用芸術(Applied art)と
純粋芸術(Fine art)という概念、
やっとちゃんと理解しました。笑
(ついでに大衆芸術と商業芸術も)
私は応用芸術が好きですね。
残念ながら根っからの
貧乏症なのでしょうね、
使われへんかったら
意味ないやんっていうね。笑
WIEN 1900
中でもWIEN 1900と題された
世紀末美術〜第二次世界大戦前までの
コレクションは圧巻です。
Permanent Collection Vienna 1900 - MAK Museum Vienna
1つ目のお部屋。
モダンなスタイルの模索と名付けられ
〜1900年までの工芸が揃います。
クリムトによる国際音楽演劇祭のポスター
ラリックのお皿
ウォルファースのジュエリー
ティファニーのグラス
ミュシャのパリ万博オーストリア室ポスター
眼福ですね?
2つ目のお部屋は
“ウィーン独自のスタイル確立”がテーマ。
奥に見えますのは1910年
クリムトのブリュッセルのシュトクレー邸
ダイニングルームの壁面装飾 9枚の下絵
下絵だけに下書きと色が
違っているのが面白い
その横には私のナンバーワンヒット
マーガレット・マクドナルド先生
ウィーンではなくイギリスを中心に活動、
グラスゴー派というようです。
【作品一覧】マーガレット・マクドナルド | ネット美術館「アートまとめん」
Seven Princesses 1907年
好きです・・・
うぅ、、、ドリーム、、、 pic.twitter.com/mf5BGNepoX
— Ayano Jewelry (@ayano_jewelry9) 2019年4月5日
1903年ヨーゼフ・ホフマンのティーセット
もう1つ第二次世界大戦までをまとめた
お部屋があるのですが
写真を全く撮っていないので
琴線に触れなかったのでしょう。笑
すみません!
オンラインコレクションが充実しているので
ぜひご検索ください。笑
schmuck と入れると
ジュエリーたくさん出てきますよん❤️
Koloman Moser展
先ほどご紹介した
ウィーン分離派のひとり
コロマン・モーザーの展示が
行われておりました。
天才って多作って
ほんとだなーと思う
カテゴリー問わない膨大な作品の数々。
ドチャクソかっこいいボックス
ジュエリーもありましたよ
かっこええ
ひとりのアーティストに
フォーカスした展示は
こんな感じで制作の背景も見せてくれるので
作り手には参考になりますね。
まず模写、抽象化、パターン化って感じ
これくらいの絵心で
いけるのかっていう希望がww
MAKのコロマン・モーザー展。
— Ayano Jewelry (@ayano_jewelry9) 2019年4月5日
ウィーン分離派のひとりで絵画、インテリア、ステンドグラス、ファッションやジュエリーまで手がけた天才。
蝶の模写から紋様をつくる過程が1枚にまとまっていて非常に興味深かった。わたしもやってみよ♫ pic.twitter.com/woYBtckKKL
ステンドグラスのデザイン過程が
丁寧に紹介されていて面白かったです
まずは鉛筆で全体像を下絵
続いてカラーに
全体像が決まったら
等身大のカラーを作成
こうやって地道な作業で
名作ができていくのですなぁ
オンラインコレクションで
koloman moser
で検索すると
山ほど作品見られるのでぜひです
まとめ
私がなんでこんなに
世紀末美術好きかっていうと
ウィリアム・モリスの
一般の人の生活を芸術で豊かにしたろう!
っていう心意気から始まってるからじゃないか
って思うんですよね。
ユーゲントシュティールを学ぶ中で
— Ayano Jewelry (@ayano_jewelry9) 2019年4月8日
まず思想があり
次に建築があり
続いて内装があり
そして調度品があり
ジュエリーって文化の形成の中では割と大トリなんだなぁと思うなどしました。
絵画やファッション、音楽はこの文脈に入ってくるのかな pic.twitter.com/mkzjdPmiQ5
それまで殿上人のみが楽しんでいた芸術を
一般の人の生活にもたらそうって
革命家っぽくてかっこいいですよね。
私はどこかで
人間の作るものは
人間やその環境に役立つものであるべきだろ
という思いがあって。
(純粋芸術を志す方はまた違うと思うのですが)
精巧なジュエリーを作ることを
ゴールにしている方もいて
それはそれで素晴らしいのですが
私にとってはジュエリーはゴールではなくて
人を幸せにする手段なんです。
(この話はまたどっかで書きたい)
そういうところが
このモリスの哲学に端を発する
世紀末美術に共感する由来なのやも、
などということを考えましたでございます。
奥深き世紀末美術、
まだまだ勉強が足りないな〜
次回はドイツ語圏ユーゲント・シュティール運動の
中心的役割を担った「マチルダの丘」を有する
ドイツ・ダルムシュタット弾丸旅
の様子をお届けしたいと思います!